親が認知症になった時に、資産の凍結が心配という方が増えています。

2019年2月11日

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高齢の親御さんの認知症を心配して、相談を受けることが増えてきました。認知症になられてからだと打つ手がなくなってしまいます。お元気なうちに対策をすることが大切です。

税理士会の無料相談会にて

先日、税理士会の無料相談会に相談員として行ってきました。

その中で多かった相談がコレ

「父親、今は元気なのですが、最近体力の衰えを感じます。認知症が心配です。

認知症になると意思能力に問題があるとして、リフォームをしたり売却することが難しくなると聞きます。今のうちに不動産名義を変えておきたいのですが、税金はどうなりますか?」

相談者が50~60代くらい、親御さんが80~90代くらいの方です。

みなさん、認知症による資産の凍結を心配しておられました。

認知症により意思表示ができなくなると、法律行為ができなくなります。

そうなると財産を全く動かすことができず、だれも手を付けられない状態になってしまいます。

これを認知症による資産の凍結といい、2030年には凍結される財産の額が215兆円になるという試算もあります。

215兆円!ものすごい金額ですね。

財産の凍結を防ぐために、名義を変えたら?

気持ち的には、「事情も事情だし税金はかかりませんよ~」と言ってあげたいところですが、そうもいきません。

タダで名義を変えた場合は、贈与となり、贈与税がかかります。

例えば、3,000万円の不動産の名義を変えたとすると、およそ1,200万円ほどの税金がかかります。アホらしいです。

じゃあ、売買をしたことにすればいいやんと思わるかもしれません。しかし、形式だけを整えればいいというものではなく、実際に多額の現金を息子さん(または娘さん)が準備しなければいけません。

現実的ではありません。

資産の凍結を防ぐことはできないの?

全く対策ができないということはありません。

①相続時精算課税、もしくは②家族信託を使うことで対策は可能です。

①相続時精算課税

父母または祖父母から20歳以上の子供や孫へ贈与をした際、税金はかからないけれど、相続が起こったときはその分も相続税を課税するというものです。贈与時に非課税になる金額は最大2,500万円です。

要は、贈与税を相続時まで先延ばししますよという制度です。

ただし、注意点があります。

いったん、採用するとずっとこの制度を採用しないといけないという点です。

なので、相続税がかかる方には向かない制度です。

②家族信託

信託契約というものを利用して、家族間で信託契約を結びます。

信託の世界では、財産の所有権を①管理する権利と②利益を受ける権利に分解します。

①の管理する権利を息子さんなど管理してくれる人に移転し、②の利益を受ける権利を親御さんにしておきます。管理する権利を息子さんに移転しているので、財産は凍結されません。しかも利益を受ける権利を親御さんに残しているので、介護費用などに使うことができます。

 

いずれの対策を使うにしても、親御さんがご自身で意思表示をできることが絶対条件です。

認知症になってからでは、遅いのです。

なかなか話ずらい話題ですが、親御さんがお元気なうちに話をしてご家族の中で対策をしておく必要があります。

 

と偉そうなことを書いていますが、私も離れて住んでいる兄とは話せていません。

母とは、我が家の相続のことを二人でよく話すのですけどね…

年末、兄が帰ってくるときに話してみようと思います。

 

編集後記

昨日は、京都で一日打合せ。

プチエクセサイズ

足の裏をほぐし、肩をぐるぐると回すエクセサイズ。5分ほどのエクセサイズですが、身体が軽くなります。

 

 

 

 

 

 

元気なうちにできる対策