ちょっとややこしい家賃に関する消費税
家賃には、消費税がかからないと思ってらっしゃる方も多いのですが、消費税がかからないのは住宅用のみで、事業用の家賃は消費税がかかります。
同じ家賃なのに、消費税がかかったり、かからなかったりするのはなぜなのでしょうか?
家賃って消費税はかからないんじゃないの?
10月から消費税率が10%に引き上げられますね。
消費税率が上がることについては、あきらめのような気持ちになっていらっしゃる方も多いと思います(私もそうです)。
さてさてこのタイミングで、「消費税が上がるから、家賃の値上げもお願いします」といった案内文を受け取られた方も多いのではないでしょうか?
えっ、家賃って消費税はかからないんじゃないの?
便乗値上げ?
そう思われた方は、少なからずいらっしゃると思います。
家賃に関する消費税
実は、家賃に関する消費税は少々複雑です。
住宅用として借りているのであれば消費税はかからず(非課税)、
事業用として借りているのであれば消費税はかかります(課税)。
借りる目的によって、取り扱いが違います。
事業用として建物を借りていらっしゃる方は、値上げのお願いを受け取られたことでしょう。
消費税の課税の対象となるもの
消費税法では、
まず、このような取引には消費税がかかります。という原則を定めています。
そして、原則通りにいくとちょっと不都合があるよね。という取引を消費税の課税の範囲から外しています。
原則消費税がかかるものの条件!
①日本の国内の取引で
②事業として行われていて
③お金のやり取りがあること
④物の譲渡、貸付、サービスの提供
①~④のすべてにあてはまれば、消費税がかかる取引です。ただし、このほかにも、保税地域からの貨物の引き取り、特定仕入も課税取引です。説明が長くなるので、今回は、省略します。
例えば、
「友人から乗らなくなった車を50万円でゆずってもらった。」という取引があったとします。
日本国内の取引で、お金を払っており、物の譲渡には該当しますが、②の事業としてというのに該当しないので、消費税がかからない取引となります。
もしこれが、
「友人が中古車店を経営しており、そのお店で車を購入した」だと
②事業として行っているというのにも該当しますのでで、消費税がかかります。
家賃は?
それでは、家賃はどうなるのでしょうか?
4つの条件にあてはめて考えていきましょう。
①日本国内で借りていれば、当然、日本国内の取引です。(消費税は取引が行われる場所で判断しまので、大家さんが外国の方であっても関係はありません。)
②不動産を貸していれば事業であると判断されますでの、②にもあてはまります。
③家賃を払っていれば、この条件もクリアです。
④物の貸付なので、これにも該当します。
4つの条件、すべてに該当しますね。
そうです。
原則、家賃は消費税がかかる取引です。
なぜ、住宅用は非課税なのか?
消費税導入当初(3%の時代)、住宅用の家賃も含めて消費税がかかっていました。
しかし、「人が最低限必要とする住居に関して消費税をかけるので、適切でない!」との声が相次ぎ、1991年の税制改正で非課税となりました。
以降、
住宅用の家賃は、非課税、
事業用の家賃は、課税
ということになりました。
政策的配慮でそうなったから、同じ家賃なのに、取り扱いが違います。
実務で混乱する
同じ家賃なのに取り扱いが違うので、実務では、混乱します(間違いが多い)。
例えば、法人が社宅を借り上げている場合。
法人だから、事業用?
でも、社宅だから住むのが目的よね?
???
課税なの?
非課税なの?
と非常に混乱します。
お気持ち、よーくわかります。
そういう時は、家賃は「契約書の目的で課税か非課税かを判断する」と覚えてください。
契約書に、「居住のため」と記載してあれば非課税、そうでなければ「課税です」
法人で社宅を借りている場合、社員が住むのが目的ですから、消費税はかかりません。
まとめ
家賃は、本来、消費税がかかる取引です。
しかし、住まいに関する家賃は、政策的な配慮により非課税となっています。
事業用の家賃には、消費税がかかります。
政策的な配慮が浸透しすぎたせいで、家賃には消費税はかからないと広く認識されていますが、実はこっちが例外的な取り扱いなのです。
なので、この先、どう転ぶかはわかりませんね。
編集後記
長ーい夏休みがやっと終わりました。
自由研究も昨日の16時に完成し、滑り込みセーフ!
宿題にギリギリまで手をつけないのは、
遺伝なのか?
それとも、人間というものの性質なのか?